第9回 クラウド利用者会議レポート

第9回クラウド利用者会議 レポート

2018年2月16日
CSAジャパン 諸角昌宏

第9回クラウド利用者会議では、IoTのセキュリティに関わる課題というテーマで笠松氏にご説明いただいた。会議は、2月5日(月)に開催し、クラウド利用者を中心として9名(内1名はオンラインでの参加)に参加いただいた。

まず、IoTのセキュリティに絡む課題として、12月の勉強会の時に参加者およびベンダーとディスカッションした内容に基づいて、以下の5点を上げた:

  • 経営陣の理解が乏しい懸念がある
  • 経営陣を説き伏せる対応が多岐にわたるため、それらへの対策を議論するが場ない
  • IoTのセキュリティについての活動を行っている他のNPO法人との協調
  • IoTの「プラットフォーム」としてのセキュリティの必要性
  • 開発・運用環境を含めて、エッジ及びクラウドのセキュリティの必要性

また、IoTのセキュリティに対する国内の政策としてIoT推進コンソーシアムがあり、官民が連携して様々な活動を行っている。IoT推進コンソーシアムは、海外との連携も進めている。しかしながら、IoT推進コンソーシアムは開発ガイドラインの策定が主な目標であり、上記の課題にある開発・運用環境、プラットフォームとしてのセキュリティには踏み込めていないという印象がある。
IoTに関する国際標準は、ISO/IEC15408として進められている。この標準は、セキュリティ製品(ハード/ソフトウェア)およびシステムの開発や製造、運用などに関する国際標準であり、情報セキュリティ評価基準(ITSEC, Common Critria等)の考え方で進められている。

このような状況を受けて、笠松氏からIoTに絡む5つの課題が説明され、今後検討しなければいけない点として上げられた。これについては、以下の笠松氏のスライドを参照していただきたい。

さて、以上の説明に基づいて、スピーカーから提示された上記の課題に対して参加者からの質問および議論が行われた。

  1.  IoTに関するIPAの取り組みについて議論となった。
    IPAでは、セキュリティとセイフティーの融合の観点から、実証検証、ケーススタディー等を通してリスクアセスメントに取り組んでいる。いわゆるSecurity-by-Designに基づくSTAMPモデルにより、システムの安全性に関するモデル化および分析方法を進めている。基本的には、開発者および利用者向けの取り組みになる。したがって、IoTの運用に関するセキュリティの課題は残ったままである。特に、IoT環境においてエッジコンピューティングとしてスマートフォンが使われるケースが増えてきている。この課題は、誰でも容易に使える反面、多くのIoTがパスワードも含めデフォルト設定のまま出荷されている点、データオーナの許可なく通信傍受が容易である点などが問題となっている。また、2016年米国FBIが個人宅で殺人事件があった際、スマートスピーカを押収した事例は、音声のオーナは誰か、スマートスピーカのオーナは誰か、スマートススピーカ(仮に音声型IoTとする)の音声データに証拠能力があるのか、など運用時のルールが不明のまま市場から受け入れられていく社会的環境が容認される点、などが重大な課題ではないか。
  2. 国境を越えるデータ流通について
    eSIM(電子的に書き換え可能なSIM)がIoT基板PCBに半田付けされている製品が出回りだしている点は、パーマネントローミング規制をEUで制定すみだが、日本国内の運用・使用ルールは見当たらない。顔認証が実用段階となった現在、このようなIoT機器のデータ流通を運用する議論の場が、CSAにあっても良いのでは。
  3. RPAの導入がセキュリティに与える影響について議論となった。
    RPAが行ったことで問題が発生した場合どうなるのかということである。RPAの利用にあたっては、監査ログが必須なるが、そもそも捜査の範囲を明確にしないと監査自体が検証可能にならないという問題になる。そうすると、RPAになんでもかんでもやらせるということでは無く、行う操作自体を明確にして、後で検証できることが重要になる。できるだけ業務を絞り込んで、監査しやすくするということが重要になるということである。という議論をしていくうちに、そもそもRPAはIoTなのかという話しになり、様々なモノをIoTでひとくくりに見ていくこと自体が無理ではないかという話しになった。モノの種類、特性ごとに個別に考えていく必要があり、RPAはRPAとして考えていかなければならないということになった。
  4. ビルや橋に埋められた100年IoT
    この部分については時間の関係で、パワポ記載内容を読み上げるに留まった。
  5. サーバレス
    この部分については時間の関係で、パワポ記載内容を読み上げるに留まった。

以上のような議論のもと、今後CSAとしてどのように取り組んでいくかという話しになった。IoTの運用面のセキュリティの課題をどうするかということは、結局どのようにガバナンスを利かすかという問題になるということになった。RPA等、新しい技術に対してどのようにガバナンスを利かすか、GRCをどのようにしていくかについて、テーマを決めながら議論していくことが大切であり、CSAとしてワークショップを開きながら議論していくことが必要ということになった。

 

以上

 

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